大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(行ケ)40号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔編注1〕一 特許庁における手続の経緯

原告は、特許第二六三、四四七号「動力耕耘機の車輪移動装置」なる発明(昭和三十三年二月二十日Fが特許出願、昭和三十五年三月十一日出願公告、同年七月十一日設定登録)の特許権を、Fより譲り受け、昭和三十九年二月二十四日、その旨の登録を経由した。

被告は、昭和四十年四月二十八日、特許庁に対し、Fを被請求人として、本件特許を無効にすることについての審判を請求し、同庁同年審判第二、一六四号事件として審理されたが、その間、昭和四十一年八月十二日付手続補正書により、被請求人を原告と訂正したところ、昭和四十五年三月六日、「本件特許は、無効とする。」旨の審決があり、その謄本は、同年同月二十九日原告に送達された。

〔編注2〕第三 被告の答弁

被告訴訟代理人は、請求原因事実は全部認める、と述べた。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 特許第百三十一条第一項の規定によれば、審判を請求する者は、請求書に、当事者の氏名および住所を、他の所要事項とあわせて、記載し、これを特許庁長官に提出しなければならないと定められているが、同法第百二十三条第三項、第三十二条第二項および第百三十四条第一項の規定に徴すると、同法第百二十三条の特許の無効の審判は、特許権を有する者を相手方として、当該特許を無効にすることについて請求するものであるから、この場合の当事者は、請求人および被請求人(相手方)の双方を指すことが明らかであり、特許庁に係属すべき審判事件は、この当事者の表示ならびに審判事件の表示および請求の趣旨(第百三十一条第一項第一号ないし第三号)の記載により特定されるものと解することができる(同条第二項参照)。したがつて、審判請求書を提出したのち、被請求人を変更することは、一旦係属した審判事件の特定を害し、これを他の事件に流用することとなり、審判請求書の要旨を変更するものであるから、許されないといわねばならない(同条第二項)ところ、前記当事者間に争いのない事実によれば、本件特許についての本件審判請求時における権利者は、原告であり、特許原簿にもその旨登録されていたのであるから、被告が、Fを被請求人として、本件特許を無効にすることについてした審判の請求は、不適法であり、かつ、その補正をすることができないものであるから、特許庁は、特許法第百三十五条の規定に則り、審決をもつて、本件審判の請求を却下すべきであつたにかかわらず、その措置に出でず、被告より提出された手続補正書による被請求人の訂正を容れて、本件審決をしたことは、違法であり、本件審決は、その点において、取消を免れない。

(むすび)

三 叙上のとおりであるから、その主張の点に違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、爾余の点について判断するまでもなく、理由があるものということができる。よつて、これを認容する。

(三宅正雄 武居二郎 友納治夫)

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